Hinode LaboBlogプロジェクトマネジメントベトナム人とプロジェクトを進めるうえで避けるべきポイント

ベトナム人とプロジェクトを進めるうえで避けるべきポイント

人前で怒る

まず初めに、1番注意していただきたいのが、ベトナム人のスタッフを人前で叱責しないということです。
ベトナムに行ったことがある人はご存じかもしれませんが、ベトナムは日本に比べて日常生活で抱えるストレスが少ない国です。
実際にスーパーやショッピングモールを歩いていても、笑顔浮かべるファミリーが多く、反対に泣いている子供を怒る親などはあまり見かけません。
そのため、ベトナムでは感情あらわにして怒ることがとても珍しく、日本人が思うよりも印象が悪いです。
加えてベトナムでは、友人や同僚など周りの環境をとても意識する文化があるため、人前で行われることに日本人以上にストレスを感じます。
そのため、人前で怒られるという経験をしたスタッフは、最悪の場合には翌日に退職してしまうといったケースもあります。
もし業務上で注意をしたりする必要がある場合は、個別にそのメンバーを会議室などのスペースに呼び出して話を聞くことをお勧めします。

遅刻に厳しくしすぎる

人によりますが、ベトナム人は日本人よりは時間にルーズだと思います。
仕事には責任を持ってきちんと業務をして遂行してくれますが、それでも遅刻をしないことへのハードルがまだ高いようです。
筆者のベトナム人の友人の話では、ベトナムのことわざで「時間はゴムのようだ」というものがあるそうです。

これは、「時間はゆっくりと伸びたりすることもあれば、縮むこともある」という意味だそうです。
そのため、ベトナム人は時間が伸びたり短くなったりしても、ゴムのようなものだから仕方がないと捉えるそうです。
加えて、日本人に理解をしていただきたいのが、ベトナムの交通渋滞です。
ご存知のように、ベトナムの都市部はバイク社会のため、毎日道がすごく混み合います。
雨などの天候の悪い際には、交通事故等も起きやすく、渋滞がさらにひどくなることもあります。
そのため、時間通りに電車やバスに乗って通勤する日本とは違い、その日の出勤にどれくらい時間がかかるのか把握しにくいと言う現状があります。
さらに、ベトナムでは共働きの家庭が多く、朝両親が子供をバイクに乗せて幼稚園や小学校に送り届けてから出勤するというケースも多いので、ベトナム人にとっては朝が1番大変な時間帯です。

日本人の感覚からすると、交通渋滞などでどれぐらい時間がかかるか読めないのであれば、前もって早めに出勤をするように心がけるべきだという意見もあると思いますが、日本人の価値観を一方的に押し付けることはおすすめしません。
相手の文化や価値観を尊重し、寛大な措置を取ることをお勧めします。

わかりにくい指示を出す

ベトナム現地の様子

筆者が日本人をチームリーダーとしてプロジェクトで1番よく見る問題は、わかりにくい指示を出すと言うことです。
日本では若手のメンバーに対して、あえて質問の形で課題を出すことによって、自ら考えて行動し、正解を導き出すという教育方針がよく見受けられます。

しかしベトナムでは、あらかじめ誰が何をするかきっちりと役割を決めて、司令塔から言われたことを自らのミッションだと捉えるスタイルのチームワークを取ることが多いです。

これは、司令塔の指示を守って、全員がしかるべき役割に忠実に従事し、全体のミッションを全員で達成するという、社会主義の国ならではの「役割社会」がベースになっていることが考えられます。

そのため自分で考えてほしいという意図を持って、ぼんやりとした指示を出すとそこから前に進むことができません。

ベトナムでのプロジェクトを進める上で的確な指示とは、誰がいつまでにプロジェクトのどの範囲を、どういった手法で遂行するかという、細かく明確で相手にきちんと伝わる指示を出すように心がけましょう。

ふりかえり制度にこだわる

プロジェクトを進める時も、日本人メンバーがベトナム人とコミュニケーションとるの時にも失敗の要因としてよく見受けられるのが、振り返りにこだわりすぎるという点です。
実はベトナムでは、「明日のことは明日考える」といったスピリットがあり、過去のことをあまりこだわらない傾向があります。

これは、70年代のベトナム戦争の経験から、「明日国の情勢がどうなるかは明日にならないと分からない」といった社会的に大きな不安要素が存在していたという事実に由来することが考えられます。

そのため、過去の教訓は明日には当てはまらないかもしれないという考え方にも納得がいきます。

一方で、日本では児童教育レベルから振り返りの制度を重要視する傾向があるため、ベトナム人と業務をする上では、相手に過度にふりかえりを強要しすぎないことが大切です。

もちろん過去の過ちや教訓は新しいプロジェクトに必ず生かすべきであることには変わりがないので、相手の反応や全体の塩梅を見て、程良いバランスで振り返りや新しさへのチャレンジを許容してあげてください。